いま地球は確かに暖かくなってきている。原因は外的要因(太陽活動、火山活動)や人的要因(CO2などの温室効果ガスの増加、森林破壊)など様々出てきているが、どれも主要因としての決定打に欠けている。ただこの地球温暖化が人類の生産活動に支障をきたしてきている。それは、近年頻発に起こるようになってきた、異常気象だ。ちなみに異常気象とは、気象庁によると「過去30年の気候に対して著しい偏りを示した天候」を異常気象と定義している。
日本では、2004年、1998年がそれぞれ観測史上2、3番目に高い年平均気温を記録するなど、毎年のように異常気象という言葉を耳にするようになった。世界的にも酷暑や豪雨や干ばつのニュースをよく耳にする。特に最近は過去約100年には無かった頻度で異常高温が出現しているらしい。
この異常気象の頻発化の元凶は何なのかと言うと、地球温暖化。
なぜ地球が暖かくなると、異常気象が増えていくのか?
@北極海の氷の融解⇒熱塩循環の停止
105184より
>>実際の熱塩循環について説明する(図1参照)と、大西洋のノルウェーやグリーンランド沖の高緯度では、メキシコ湾流によって南から運ばれてきた高塩分の海水が蒸発や冷気との接触によって、水温が下がるとともに塩分の濃度も増し、海水の密度が大きくなって海中に深く沈む。こうしてできた深層水は大西洋を南に流れ、南極のまわりの海に達し、東へと流れる。それから太平洋を北上し北太平洋で上昇して表層に戻り、そこからインド洋を経て大西洋に流れ、大西洋の表層を北上して北大西洋に戻る。この流れは1回りするのに約2000年かかる。約1.2万年前に、なんらかの理由で大陸上の氷河が融けてできた淡水が北大西洋に流れ、表層海水の塩分濃度が低くなり、深層への沈み込みが弱まり、熱塩循環が弱くなって北大西洋で暖流が北に行かなくなったためにヤンガードリアス期という氷期になったと考えられている。また、氷期に見られる激しい変動は熱塩循環の変動が関係している可能性も考えられている。
ここで重要なのが極域の氷が解けると言うことだ。NASAによると1974年から2003年にかけて北極の氷が14%減少している。この氷が解けていく勢いは近年増しているそうだ。雪や雲は純白で日射の反射率(アルベド)は大きく、本来氷は解けにくいものである。しかし温暖化の影響で一旦雪や氷の平原が解けて減少し、海面や地表があらわになると、黒々とした海面や地表は、一転して太陽熱を吸収する。そうして北極の氷は急激に解け、さらに気温は加速度的に上昇していく。そうすると、北極海での海水の淡水化の勢いは止まらない。そして熱塩循環もほぼ停止状態に陥る。
A熱塩循環の停止⇒偏西風の大蛇行
熱塩循環は熱を赤道地域から極地域に行き渡らせる作用を持ち、いわば地球環境調和装置という役割を果たしている。同じように地球環境調和装置といった働きをするものがある。それが空気の対流(偏西風)である。偏西風はほぼ同心円状に吹く風で、中緯度(30度〜65度)付近の成層圏を西から東に向けて吹いている。中でも風速が強いのがジェット気流と呼ばれている。大気熱のバランスが乱れた状態(熱塩循環の停止状態)で、大きな影響が出てくるのが、北太平洋と北大西洋。大洋の中心部の海水面の温度が上がり、洋上の気温が上昇する。すると水蒸気を含む海洋性高気圧(暖気)の勢力が強まり、偏西風を北に押す。一方大陸部などではその反動で、北極圏からの乾燥した冷たい大陸性高気圧(寒気)が南下し、偏西風を南へ押す。こうして偏西風が、大蛇行を始める。
B偏西風の大蛇行⇒異常気象
偏西風の波動が緩やかなら気候変動も緩やかなものになる。偏西風が大蛇行すれば気象変動も大激変する。天候を決める気象配置は次々に変化をするが、同じような気象配置が一ヶ月以上続くと異常気象が発生する。これは気圧配置を動かす偏西風(ジェット気流)が南北に大きく蛇行したり、分流して流れが阻止されたり(ブロッキング現象)するからである。偏西風の蛇行が激しくなると、蛇行が高緯度側へ張り出した部分(気圧の尾根)が切り離されて独立した渦となることがある。この部分は赤道からの暖気が入り込んでいる部分であるので温暖高気圧となる。これが、ブロッキング高気圧、切離高気圧といった名で呼ばれる高気圧である。ブロッキング高気圧の名は、この高気圧の存在によって温帯低気圧や移動性高気圧の通常の西から東への移動が滞るところから付けられた。ブロッキング高気圧は偏西風の流れから切り離されているため移動が遅く、覆っている地域に長期の晴天をもたらす。暖気にはまり込んだ地域は熱波、寒気にはまり込んだら寒波に襲われる。そこに湿った空気があれば大豪雨、寒波なら猛吹雪が襲い掛かる。
すでに温暖化の影響は始まっている。一刻も早く温暖化の決定的な原因解明と、京都議定書のような場当たり的な対処ではない、本当の対処が急がれている。
【参考文献】船瀬俊介著 気象大異変
【参考リンク】リンク |
|