NEW ENTRIES
LINKS
RECENT COMMENTS
RECENT TRACKBACK

2008年06月26日

家族・婚姻に関する人類学の系譜2(モルガン社会進化主義)

今回から、 『家族・婚姻に関する人類学の系譜1』で取上げた各時代の人類学説について、その主要な論点を整理していきたいと思います。最初は、19Cの進化主義人類学を体系化したアメリカの人類学者 L・H・モルガン(1918-1881)を扱います。


1.モルガンの業績************************

Morgan.jpgモルガンの過ごした19Cのアメリカは、農業国から工業国へ転換していくと同時に、西部開拓(≒先住民の迫害)が進行していく時代と重なります。青年期のモルガンは、弁護士業として活動するかたわら、郷里の近くのインディアン(イロクォイ先住民)の生活と文化に関心をもち、彼等の保護を目的とする運動→政治活動を展開します。
先住民の社会に深く関わる中で親族組織を中心とした社会・歴史構造を研究し、晩年にはその集大成としての『古代社会』(1977)を刊行します。
 L.H.モルガン(画像元:ウィキペディア)

モルガンについて特筆すべきは、大学や研究機関に所属することなく、生涯民間の研究者として研究活動を行ったことです。この“素人として立場”が、自在な発想→追求→創造に繋がったと考えられます。その結果、主著『古代社会』は、特定の領域を扱うのではなく、人類の歴史構造や社会構造を総合的に分析した“グランド・セオリー”としての性格を帯びています。

家族・婚姻に関する人類学の系譜2(モルガン社会進化主義)の続きを読む

2008年06月12日

家族・婚姻に関する人類学の系譜1

本ブログでは現在、「家族の起源」について、霊長類学の分野でどのように考えられているのかがテーマになっています。これまでの投稿は、 、 、 、 にまとめられており、現在も追求が継続されています。

今回は霊長類学の議論と平行して、文化人類学・社会人類学と呼ばれる分野で、家族の問題がどのように考えられてきたのか、その系譜を整理してみたいと思います。

***********************************
■19C後半:社会進化主義
1859年に発表されたダーウィンの『種の起源』の影響を受けて、19Cの後半は、人類の社会形態についても、原初の時代から19Cの当時に至るまで連続的な発展段階を経て進化してきたと考えられていました。この考えを社会進化主義といいます。
J・J・バッハオーフェンの『母権論』(1861)、L・H・モルガンの『古代社会』(1977)がこの流れにあります。
モルガンは、アメリカ・インディアンの親族名称が欧米のものとは異なっていることに着目し、親族名称が過去の時代の家族の発展段階を表していると考えて、人類社会の進化モデルに取り組みます。その結果、人類社会は原始乱婚の時代から血族婚家族、母系の半血族婚家族(いずれも集団婚)を経て、私有財産制の発展に伴って父系制に転換し、最後に一夫一婦制からなる核家族に到ったという立場をとりました。

家族・婚姻に関する人類学の系譜1の続きを読む

2008年03月08日

母系・父系の有様と双系の謎

文化人類学的には、日本は母系でも父系でもなく双系であるという点が気になっていましたが、『母系社会』って何?~ちょっと整理してみましたに続けて、再度押さえ直したいと思います。(参照:中根千枝『社会人類学』)

母系制(または父系制)というのは、特定の血縁のつながりを組織概念のシステムとしてもっている社会で、例えば子供は全て母(または父)の血縁成員権を継承するというように、オートマチックなシステムである。両者を総称して単系制といい、血縁関係を使うので生得的なもので一生変わらない。十数世代にも遡って辿ることもできる。従って、結婚して同居しても、母系制の夫(または父系制の妻)はいわばよそ者で、姓も変わらない(夫婦別姓)。この別姓でよそ者というのは、意外に厄介な存在かもしれません。

確かにこの定義に従えば、日本は母系でも父系でもない。日本以外にも東南アジア、エスキモーなどもそうで、双系とか非単系と呼ばれている。(なお、どのような血縁システムをもっているかと、どのような社会構造をもっているかとは別の問題のようです。)

次にこれらの分布を見てみましょう。
応援よろしく m030  by岡
ブログランキング・人気ブログランキングへ  にほんブログ村 歴史ブログへ

母系・父系の有様と双系の謎の続きを読む

2008年01月05日

一対婚は世界の16%に過ぎない

少し前になるが、新聞の書評の中にこんな記述があったので紹介します。

『愛はなぜ終るのか』ヘレン・E・フィッシャー著
%E6%84%9B%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E7%B5%82%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B.jpg

ブログランキング・人気ブログランキングへにほんブログ村 歴史ブログへ
今年もランキング△協力お願いしまーす

一対婚は世界の16%に過ぎないの続きを読む

2007年08月17日

【図解】交叉婚って何?(4)::トロブリアント諸島編

交叉婚って何?(3)に続き、今回はクラ交換で有名なトロブリアント諸島の交叉婚を追求してみたいと思います。

トロブリアント諸島の婚姻は、母系なのに嫁入り(?)するという、世界に分布する交叉婚の中でも極めて特異な事例です須藤健一著『母系社会の構造 サンゴ礁の島々の民族誌』を参考に、図解化を試みながらその構造を探ってみたいと思います。

m118 応援よろしくお願いします m027
ブログランキング・人気ブログランキングへにほんブログ村 歴史ブログへ

【図解】交叉婚って何?(4)::トロブリアント諸島編の続きを読む

2007年08月02日

【図解】交叉婚って何?(3)::スキンネームの謎に迫る

交叉婚って何?(2)に続き、今回はアポリジニの交叉婚を追求してみたいと思います。

オーストラリアの先住民を総称してアポリジニといいますが、その語源はラテン語で「はじめから」の意味を持つ「アブ」と「オリジン」が合わさってできています。
『アポリジニの(半族→クラン→スキンネーム)』でも取上げられていますが、アポリジニの交叉婚を理解する上で重要なキーワードは“半族”です。半族という概念と交叉婚の仕組みを『世界観の人類学』(蛭川立氏)を参考に、図解化を試みながら考察してみたいと思います。

m118 応援お願いします m027
ブログランキング・人気ブログランキングへにほんブログ村 歴史ブログへ

【図解】交叉婚って何?(3)::スキンネームの謎に迫るの続きを読む

2007年07月11日

【図解】交叉婚って何?(2)

『交叉婚って何?①』に続き、今回も『通い婚→母方交叉イトコ婚→父方交叉イトコ婚への変遷』を題材に、交叉婚の意味を探っていきたいと思います。
今回のテーマは「母方交叉イトコ婚」です。前回同様、図解化を試みながら追求していきたいと思います。

m118 応援よろしくお願いします。 m027
ブログランキング・人気ブログランキングへ にほんブログ村 歴史ブログへ

【図解】交叉婚って何?(2)の続きを読む

2007年07月07日

【図解】交叉婚って何?(1)

日本の法律ではイトコ同士の結婚が可能ですが、この場合、結婚するイトコが父方の親戚であろうが母方の親戚であろうが問われません。しかし、世界に多く分布する交叉婚(交叉イトコ婚)は、この部分が非常に重要になってくるのです。

人類学において「イトコ」は、「平行イトコ」と「交叉イトコ」とに概念が区分されています。兄弟姉妹の子同士がイトコですが、この兄弟姉妹が、
・同性(、または)の場合、その子同士を「平行イトコ」といい、
・異性(、または)の場合、その子同士を「交叉イトコ」といいます。

今回は、本ブログの掲示板に投稿されている『通い婚→母方交叉イトコ婚→父方交叉イトコ婚への変遷』を題材に、図解化を試みながら、交叉イトコ婚の意味を探っていきたいと思います。

m118 応援お願いします m027
ブログランキング・人気ブログランキングへ にほんブログ村 歴史ブログへ

【図解】交叉婚って何?(1)の続きを読む

2007年05月05日

無文字社会の思春期(1)

現存する伝統的な採集生産、狩猟生産、農耕や牧畜を生業とする先住民の社会には通過儀礼とりわけ「成人式」がきわめて厳しく実行される社会と、それとは反対に、成人式があっても非常にしまりのない儀礼にとどまるか、あるいはほとんど存在しないような社会もあります。

「成人式」がきわめて厳しく実行される社会は、狩猟生産・農耕・牧畜などを生業とする父系社会に多く見られ、一方、ゆるやかな形の方では、概して性にたいする態度がおおらかな、採集生産を生業とする母系社会に多く見られるようです。

無文字社会の思春期はなぜこれほど多様なのでしょうか?それは、集団の統合様式(母系、父系)、婚姻規範(総遇婚、勇士婚など)と密接に関係していると思われます。

無文字社会の思春期(1)の続きを読む

2007年03月12日

『母系社会』って何?~ちょっと整理してみました

 このブログでは、これまでたくさんの母系社会について紹介されていますが、その母系社会について少し整理をしてみました。

母系制(あるいは父系制)というのは、血縁関係を使った一つの社会統合原理で、母系(父系)社会であれば、その社会のすべての構成員が同じ原理を共認することで成立しています。この社会統合原理では、各人は必ず一つの所属しかもちえず、また、血縁関係(所属集団)は生れてから一生変ることがないものであることがポイントになるようです。

『母系社会』って何?~ちょっと整理してみましたの続きを読む

2007年02月24日

母系・父系の継承について

あらためて母系社会父系社会の出自規則 の構造を押さえたいと思います。(※出自規則=文化人類学で、個人が出生と同時に組み込まれる、特定の祖先を共通にする集団を決定する原理)

以下、出自の規則 Rule of Descent 蛭川立著より。
>出自規則の基本形は母系父系である。そのどちらでもないものに双系選系などがある。また母系、父系の両方の出自集団が共存している場合は、重系、二重単系などと呼ぶ。

>父系社会と母系社会は、完全に対称な概念ではない。多くの社会で富や権力は男性側に偏在するという非対称性があるため、ほとんどの父系社会は父権社会でもあるが、ほとんどの母系社会は母権社会ではない。母系社会では、成員権や財産は、ある男性からその姉妹の息子に受け継がれるのが普通です。

>母系と父系の継承を図式として見ると以下のようになります。↓↓↓
ブログランキング・人気ブログランキングへ にほんブログ村 歴史ブログへ

母系・父系の継承についての続きを読む

2006年12月20日

実現論7(前半)武力国家の統合様式

12/17はなんで屋劇場『実現論7 武力国家の統合様式と信仰・宗教観念の成立構造』でした。前半は、前回の整理も兼ねてよくまとまっていたのでレポートします。

6000年前頃掠奪闘争勃発から→5600年前、都市国家=武力支配国家が登場して以降、私有婚と私有権が成立してゆきます。

実現論7(前半)武力国家の統合様式の続きを読む

2006年10月23日

霊長類のメイト・アウトとインセスト回避

「近親相姦のタブー」はどうして出来たの? に続いて。
人類の先祖は、少人数で孤立した集団だったので、近親同士を含む性交をくり返し、奇跡的に生き延びてきた。
レヴィ=ストロースは、人類に普遍的なのはインセスト(近親相姦)のタブーではなく、インセストだと述べている。人類の婚姻は基本的にはすべてインセストだが、社会によって異なるやり方でタブーを規範化しているに過ぎない。

ところで人間以外の霊長類でも、インセスト(近親相姦)はめったに起こらない現象らしい。
ただ、インセストの回避とメイト・アウト(思春期に達したオスやメスが自分の生まれ育った集団を離脱したり、加入した集団を再び離脱すること)という、異なる動機に基づいた行動があり、メイト・アウトが結果的にインセストを回避することに貢献していると考えられている。逆のインセスト回避がメイト・アウトを促進する例は少ない。

霊長類のメイト・アウトとインセスト回避の続きを読む

2006年10月15日

「近親相姦のタブー」はどうして出来たの?

婚姻史を調べていると出くわすのが「近親相姦のタブー(近い血縁関係にある者同士が性的関係を結ぶこと)」。

専門家の間でも「なぜ、近親相姦のタブーがあるのか?」に関しては、、優生学的配慮に求める説、社会的要因に求める説などがあり、必ずしも一致した見解は無いようです。

そこで、人類500万年の婚姻の歴史を遡って考えてみました。

「近親相姦のタブー」はどうして出来たの?の続きを読む

2006年10月11日

『男性社会の遊牧』と『女性社会の採集』

森と人の地球史』というサイトで表題のような比較をしていました。妙に納得してしまったので紹介します。

      ◆遊牧部族◆             ◇採集部族◇

      移動する生活               定住生活

   動物性蛋白質を主食          植物性炭水化物を主食

  強者が弱者を捕食する            群で行動する
  「肉食動物的攻撃性向」         「草食動物的協調性向」

従的な採集には女性や子供が参加   従的な狩猟や漁撈に男が参加                         の「父系家族制度」             の「母系家族制度」

 「交易や戦いという足の文化」        「モノ造りという手の文化」

  移動の指標となる星に収束       草花の生長を願う太陽に収束

 こうした違いにより、前者は必然的に猛々しい唯一の「人格神」を生み、後者は多彩で温和な「自然神」を持ち続けるのだそうだ。


 両者を分かつのは自然環境の違いだったのだろう。自然外圧による生活様式の違いから、男女の役割分担の違いを経て全く違う思考パターンになってゆく辺りは何だかリアルに想像できてしまう。

ブログランキング・人気ブログランキングへにほんブログ村 歴史ブログへ