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2007年03月12日

『母系社会』って何?~ちょっと整理してみました

 このブログでは、これまでたくさんの母系社会について紹介されていますが、その母系社会について少し整理をしてみました。
母系制(あるいは父系制)というのは、血縁関係を使った一つの社会統合原理で、母系(父系)社会であれば、その社会のすべての構成員が同じ原理を共認することで成立しています。この社会統合原理では、各人は必ず一つの所属しかもちえず、また、血縁関係(所属集団)は生れてから一生変ることがないものであることがポイントになるようです。

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 社会によっては、特定の血縁のつながりを集団統合の基盤とするシステムとしてもっている場合あります。子供はすべて母の血縁集団の成員となる、あるいはすべて父の血縁集団の成員となるというようなシステムです。前者を母系制、後者を父系制といい、両者を総称して単系制とも言われます。父系・母系いずれにおいても、両親を同じくする兄弟姉妹は同一の血縁成員です。これは生得的なものですから、結婚によっても変わることがありません。母を通じて、子供は母の所属する集団成員となり、そして、財産は母から娘(たち)へと相続されます。
 しかし、母系制の場合は、財産の管理・運営は男子が当ることになっています。家族レベルについていうと、一人の女性(Ⅹ)とその子供からなる母系の単位(現実には普通、夫を含む家族単位)に対して、それと同一の母系成員の男子が当るのであって、原則としてその女性(Ⅹ)の夫ではありません。Xの兄弟の一人(a)が当るのが常で、この管理運営は姉妹の息子(b)によって継承されます。(a)も(b)もいない場合には、Xの姉妹の息子(c)というように、財産の相続する女性と同じ母系血縁につながる男子です。このような男子がいないか、あるいはいても遠隔地にいて頻繁に訪れることができない(実際に管理・運営ができない)場合には、夫が当りますが、それはあくまで代行です。つまり、夫は、妻と異なる母系集団に属しているため、妻の財産に対して管理・運営する役割を担うことはありません。
zu1.jpg
 このように、母系制では、女が財産の相続、と男がその管理・運営というように、男女がペアで担当するので、システムとして父系制より複雑になります。したがって、母系制とは単に「母から娘」へというラインだけでなく「母の兄弟」から「姉妹の息子」へというラインの並存がみられるところに、その特色があるといえます。
zu2.jpg
 このためには、兄弟は姉妹と同居するか、あるいは、いつでも容易に訪ねていける距離に住むことが必要です。南インドの上層カーストであるナヤールのケースは、兄弟が姉妹と共に住み、兄弟は毎晩妻の家を訪ね、同様に姉妹の夫はその家に訪ねてくるという形式をとっています。アッサムのカシ族の場合は、夫婦が同居するが、ほとんどが村内婚で、兄弟姉妹は結婚後も同一村内に住んでいるので、既婚の男子は容易姉妹を訪ねることができます。
 母系制においては、現実的に兄弟と姉妹の関係が父系制の場合よりずっと強くなり、夫の妻へのサーヴィスは量的にも時間的にも減少しがちで、母系制の既婚男子は「片方の足は姉妹の家に、もう一方は妻の家に」などと表現されますが、どちらかというと妻より姉妹の方に傾きがちなようです。既婚の男子が妻の家より姉妹の家の方にいる時間の方が多いくらいともいわれます。夫は妻の家では権利がないので、どちらかというと遠慮しているが、姉妹の家(それは生家でもあることが多い)ではその管理・運営者として堂々と振舞います。 女性にとっては頼りになる兄弟がいるために、夫の重要性が他の社会ほど痛切に感じられないこともあって、離婚率が相当高くなるようです。



 一方、いち早く父系社会に転換した遊牧部族では、女性は嫁入りして集団を移動しますが、元の生まれた集団に所属していることは変わりません。つまり、女性にとって夫の家は他の集団です。しかも、遊牧民は各集団が遠くはなれ単独で移動することが多いので、母系集団の男性のように簡単に生まれた家に顔を出すわけにも行きません。おそらく、父系社会での嫁入りは、私たちが想像する以上に女性(やその家族)にとって不安なものだったと思われます。その女の不安を解消させるために持参財が発生し、それが私権意識、集団の私益存在化へとつながったのだと思われます。
※遊牧部族の父系制への転換については、掲示板の投稿『遊牧部族の父系制への転換』『父系制への転換が集団私権への収束をもたらした』などに詳しいです


 ちなみに、このような母系、父系のいずれのシステムも日本にはありません。私たちが一つの集団(=家族)だと思っている中には、父親も、(嫁入りした)母親も、兄弟姉妹もふくまれます。ところが、母系では父親は別の集団に属する人、父系では母親は別の集団に属していると認識されています。しかし、このことは血縁というものが軽くみられているとか、血縁関係がないがしろにされているということではなく、私たち日本人でも「血縁」についていろいろ考えるし、血縁関係は大きな意味をもっています。ただ、日本社会では血縁関係自体が一つのシステムとして社会組織、集団構成の原理に使われていないということです。代わりに「イエ」に対する帰属意識が高く、財産は父から息子へと相続されるという父系的な側面が強くある社会です。


 簡単ですが、母系社会について整理してみました。誤りや補足などあれば、皆さんコメントなどよろしくお願いします!(@さいこう)
  ※参考にしたのは、『社会人類学』(中根千枝著・講談社学術文庫)など、
    図は、この本に掲載さているものを参考に作成しました

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アボリジニのスキンネームは何のため?

>男女それぞれ八種類のスキンネームは、世代が変わることで循環するようになっているから、どの人物にも、必ず自分が要求する権利をもつスキンネームの集団があり、…

  • 戌年
  • 2007年4月10日 21:21

スキンネームというシステムは非常に興味深かったです。
「ジャバラ(兄弟)」という言葉で呼ばれると、ジャバラ皆に親近感が湧きますし、「ナニリ(形式的な妻)」という言葉で呼ばれれば、皆に関心が向くような感じがします。
更にジャバラの親が皆「ジュラマ(父親)」なら、別の親から怒られても、ムッとしないのではないでしょうか。
一昔前の日本はこのような感覚だったのかもしれませんね。
いつの時代か忘れてしまいましたが、日本のどこぞの風習では年下の女性が年上の男性を皆「兄様」と呼ぶ風習があったとか聞いた事があります。
これも同じような感覚だったのかもしれません。

  • kuro
  • 2007年4月11日 13:03

皆が、何処にいても誰かと繋がっていることを感じられるシステムだと言えそうですね。
そして、このようなシステムの中では、好き嫌いなどという感覚もほとんどなかったのでしょうね。

  • yuji
  • 2007年4月11日 22:37

スキンネームの原型(数)はジャンケンと同じく3すくみなのかなと思いました。

  • 匿名
  • 2007年4月18日 13:59

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