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2007年04月03日

アボリジニのスキンネームシステム

オーストラリアの原住民、アボリジニのスキンネームという婚姻etc.に関わる興味深いシステムについて、紹介したいと思います。
aborigini.jpg
以下、生命あふれる大地 ~アボリジニの世界 より引用
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一九九七年の一月一〇日、僕は、その後長くつきあってゆくことになる、グリンジの人々にはじめて出会った。オーストラリア・アボリジニは、細かく分けると約六〇〇の異なる言語集団からなる。グリンジは、こうしたグループの一つである。
(中略)
「あなたがたの歴史と文化を学びたい。」そんなことを説明し、後は彼らのペースに身をゆだねた。グリンジの人々がまず僕に要求したことは、言語の習得だった。ダグラグ村での標準語は、グリンジ語と英語が交じり合ったクリオール(混成語)だ。老人はグリンジ語とクリオール語を話し、若者はクリオール語と英語を話している。
言葉を必死に学んでいると、しばらくして「ジャバラ」という名前を与えられた。グリンジ社会では、それぞれの固有名とは別に、皆がスキンネームと呼ばれるもう一つの名前をもつ。スキンネームは、男性に八種類、女性に八種類の合計一六種類に限定されている。「ジャバラ」は、こうした名前の一つだ。通常、自分のスキンネームは、両親のスキンネームによって決まる。例えばジャバラはジュラマを父にもち、ナナクが母である。ニマラは僕の姉妹でナニリは僕の妻だ。するとどうなるか。ダグラグ村のすべてのジャバラは僕の兄弟であり、すべてのジュラマは僕の父だ。すべてのナニリは僕の形式的な妻となる。「実際の妻」はナニリの中から選ばれる。 
こうして、社会全体が緊密な親族の網の目によって結びつく。興味深いのは、一六種類の名前のあいだで、相互依存的な権利と義務の関係が生まれる点である。例えばジャバラは、ナニリにはいろいろと要求できるが、ナニリの母であるナンガラには、話しかけることすら許されない。男女それぞれ八種類のスキンネームは、世代が変わることで循環するようになっているから、どの人物にも、必ず自分が要求する権利をもつスキンネームの集団があり、逆に自分が命令に従わなければならないスキンネームの集団がある。結果として、どの集団も社会全体に対して絶対的な権威をもつことができない。中央集権的な政治機構をもたずに、社会運営が行なわれる。権力が一ヶ所に集中することがない、このアボリジニ独自の親族‐政治システムは、長いあいだ人類学者の関心を引いてきた。これを国連で採用してみてはどうだろう、と思うのだが。

アボリジニには、文字文化を持たない、狩猟採取民族で農耕などは行わないなどの特徴がありますが、このスキンネームシステムは、アボリジニの大きな特徴の一つとなっています。このシステムには、大きく2つの意味があると考えられています。
一つは部族間での対立を未然に防いだり、誰かの元に財や権力を集中させないための、政治的なシステムとして機能していること。一つは、スキンネームによって近親婚を避けたり、将来の結婚相手を決定するといった、親族-婚姻関係の基盤を為すシステムとして機能していることです。
ただ、スキンネームシステムがどのような過程で出来上がったのか、何故16種類なのか、具体的にどのように運用され統合されているのかなど、分からないことは盛りだくさんですので、今後、継続して追求していきたいと思います。

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お世話になります。とても良い記事ですね。

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